■ はじめに
3月期決算企業の2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)の決算発表が出そろってきました。私の保有銘柄を見ると、業績は総じて好調だった一方で、配当予想が動いた銘柄はごく一部でした。今回は「第1四半期の業績」と「配当予想」がどう連動したのか、あるいはしなかったのかを整理してみます。
■ 第1四半期の業績は総じて好調でした
・日本製鉄(5401)
2027年3月期第1四半期は、売上収益2兆8,211億円(前年同期比40.4%増)、事業利益1,455億円(同58.1%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は752億円。前年同期は1,958億円の損失でしたので、黒字への転換となりました。
・東ソー(4042)
同第1四半期は、売上高2,741億円(同11.8%増)、営業利益311億円(同93.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益194億円(同198.0%増)。ナフサ価格上昇による在庫受払差の改善などが寄与したと説明されています。
・IDEC(6652)
同第1四半期は、売上高214億円(同36.0%増)、営業利益24億円(同656.4%増)。ただし親会社株主に帰属する四半期純利益47億5千4百万円には、米国の旧社屋譲渡による固定資産売却益41億8千3百万円(親会社株主に帰属する四半期純利益の約88%に相当)が特別利益として含まれており、本業だけの伸びではない点は押さえておきたいところです。
■ それでも配当予想は「据え置き」が目立ちました
業績が良くても、すぐに増配とはならないケースがあります。
・日本製鉄は2026年8月4日、通期の親会社の所有者に帰属する当期利益予想を、従来の2,200億円から2,900億円へ31.8%上方修正しました。それでも年間配当予想は24円(中間12円・期末12円)のままで、修正はありません。
・東ソーは期初「未定」としていた通期業績予想を今回開示しましたが(親会社株主に帰属する当期純利益590億円・会社予想ベース)、年間配当予想は100円で修正なしです。
・IDECも、通期業績予想・年間配当予想(130円)ともに変更なしとしています。
第1四半期は通期の4分の1にすぎません。今回取り上げた4社では、第1四半期時点で業績予想を上方修正した企業でも、配当予想は据え置くケースが目立ちました。
■ 増配に動いたのは「配当方針を見直した」ケースでした
今回はっきり増配に動いたのは、住友精化(4008)でした。同社は2026年8月6日、配当方針を変更し、従来の「配当性向30%以上」に加えて、株主資本配当率(DOE)4.5%以上を基準として導入しています。あわせて2027年3月期の年間配当予想を、従来の48円から70円へ修正しました。
なお同社は2026年4月1日付で1株を5株とする株式分割を実施しています。前期実績の年間220円を分割後に換算すると44円ですので、70円はこれと比べて26円、率にして約59%の増配となります(分割後ベースでの比較)。
一方、同じ日に公表された通期業績予想は、売上高1,650億円と増収ながら、営業利益110億円・経常利益112億円と前期比では減益の見通しです(親会社株主に帰属する当期純利益は80億円で前期比増益の見通し・いずれも会社予想ベース)。業績が伸びたから増配というより、配当方針そのものを見直した結果としての増配だと考えられます。
■ まとめ・しまちゃんの一言
今回の4社を眺めて改めて感じたのは、業績予想を上方修正した日本製鉄では配当予想が据え置かれた一方、配当予想が増額された住友精化では、配当方針そのものが見直されていた、ということです。日本製鉄のように通期利益を3割上方修正しても配当予想は据え置き、という例もありました。
今回の4社を見る限り、配当方針の変更が実際の増配につながった住友精化のケースは、配当方針に関する開示を追いかけることの大切さを示す例といえそうです。次に注目したいのは、9月の中間配当の権利確定と、11月ごろの第2四半期(中間期)決算です。ここで通期見通しが固まり、配当予想が動く銘柄が出てくる可能性があります。
⚠️ 配当利回りは株価の変動により毎日変わります。投資判断の際は必ず最新情報をご確認ください。
なお、noteマネーでは日本製鉄(5401)・東ソー(4042)・IDEC(6652)・住友精化(4008)の株価チャートをリアルタイムで確認できます。ぜひ活用してみてください。また、個別の銘柄記事も書いていますので、よろしければあわせてご覧ください。
■ 免責
この記事はあくまで個人の体験をもとにした情報提供です。投資にはリスクが伴います。投資判断はご自身の責任のもと、最新情報に基づいて行ってください。数値・情報は執筆時点(2026年8月)のものです。最新情報は各社IR・証券会社サイトでご確認ください。
